シングルファザーのみなさん、確定申告の準備は進んでいるだろうか?
会社員だから年末調整で終わり、という人も多いかもしれないが、父子家庭において「所得の申告」は、単なる納税手続きではない。
「来年の生活コスト(支援・助成)」を決める、最重要イベントだ。
今回は、実際に我が家で適用されている制度と、2026年(令和7年分)の実務ポイント、そして私が過去に経験した「申請の落とし穴」について共有したい。
我が家で申請している「支援制度」一覧
まず、我が家で現在、実際に申請・適用されている支援制度・控除を整理すると、以下のとおりです。
- 医療費助成(福祉医療): 親子ともに医療費負担を軽減
- 就学援助(教育委員会): 学用品や修学旅行費などを補助
- ひとり親控除(税制): 所得税・住民税を適正化(最重要)
- 児童手当: 子どもがいる世帯すべて対象
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児童扶養手当: 申請したが現在は対象外
これらは、条件さえ満たせば使える制度ですが、自動的には適用されません。申請漏れがないかを確認するための、基本のチェックリストとして活用してください。
2026年提出分(令和7年分)の税制トレンド
2026年の確定申告において、父子家庭が意識すべきポイントは以下の点だ。
- 基礎控除の拡大(段階制): 所得に応じた控除額の変化
- 扶養要件の緩和: 子どものアルバイト収入等の壁の見直し
- 特定親族特別控除の新設: (※該当する場合は要チェック)
細かな改正はあるが、「自分の申告データが、正しく『ひとり親』として処理されているか」を確認することが重要だ。
父子家庭が絶対に外してはいけない「3つの控除」
- ひとり親控除(最重要)
父子家庭にとっての必須カード。
・所得税:35万円控除
・住民税:30万円控除
この控除があるかないかで、課税所得が変わり、結果として「保育料」や「就学援助の判定」などに影響する可能性がある。年末調整で漏れていた場合は、必ず確定申告で反映させよう。 - 基礎控除・扶養控除
「会計ソフトに入力したから大丈夫」と油断してはいけない。
子どもの年齢(16歳以上など)によって控除額が変わるため、生年月日と控除区分は必ず目視で確認を。 - 医療費控除(※注意点)
一般的に「医療費控除」は節税の味方だが、ひとり親家庭の場合は注意が必要だ。
後述する「医療費助成」を受けている場合、実質的な自己負担額は非常に少ないはず。
「助成金で戻ってきた金額」は控除対象から差し引く必要があるため、結果として医療費控除は使えない(使う必要がない)ケースが多い。
【試算】公的制度だけで「年間10万円以上」の手取り差がつく
ここで、「ひとり親控除」を申告し忘れ、「就学援助」の申請を漏らし、「医療費助成」も使わなかった場合の試算をしてみよう。
- 税金の軽減効果(ひとり親控除)
所得税(5%~10%想定):約1.7万~3.5万円
住民税(10%):約3万円
→ 計 約4.7万円~6.5万円 - 就学援助(学用品・旅行費等)
小・中学校での支給実績(目安)
→ 計 約3万円~5万円(※学年・自治体による) - 医療費助成(親の通院費軽減)
親が月1回通院した場合の自己負担差額
(3割負担 3,000円 → 助成後 500円 = 月2,500円軽減と仮定)
→ 計 約3万円
合計:約10.7万円 ~ 14.5万円
これらが「知っているか、申請したか」だけで変わるのだ。
控除よりインパクト大!生活を支える給付制度
税金の控除も大事だが、日々のキャッシュフローに直結するのはこちらの制度だ。
医療費助成(福祉医療)|親も対象
多くの自治体で子どもの医療費は無料化・軽減されているが、ひとり親家庭向け助成の最大の特徴は、「親本人の医療費も対象になる」点だ。
父子家庭の父親は、自分の体調不良を我慢しがちだ。しかし、この制度があれば、
1レセプト(医療機関ごと)あたり:約500円(月額上限あり)
程度で受診できる。
「風邪をこじらせて仕事を休む」というリスクを、低コストで回避できるのは合理的だ。
就学援助(教育委員会)
給食費、学用品費、修学旅行費などが補助される。
これは「毎年申請」が必要なケースがほとんど。「去年出したからOK」ではない。提出漏れ=支給終了なので、学校からの手紙は春先に絶対に見逃してはいけない。
ひとり親支援の要「児童扶養手当」とは
まずは、ひとり親世帯の生活を支える中心的な制度である「児童扶養手当」の概要を押さえておきましょう。
【制度の基本】
- 対象: 18歳になった最初の3月31日までの児童を養育しているひとり親など
- 支給回数: 年6回(奇数月)
- 支給額: 所得に応じて「全部支給」「一部支給」「不支給(0円)」の3段階に分かれる
【父子家庭の現実:所得制限の壁】
この手当には所得制限があります。
父子家庭の場合、就労収入が母子家庭平均より高い傾向にあるため、申請しても「一部支給」または「不支給(対象外)」となるケースが大半だが、認定を受けておくことをおすすめする。
- 認定を受けておけば、収入ダウン時に即座に支給開始される
児童扶養手当は、「申請した翌月分」からしか支給されません。
もし、将来収入が減った(または控除が増えた)タイミングで慌てて申請しても、申請が遅れた月数分は遡って貰うことができません。しかし、今のうちに申請して「所得制限による支給停止」という認定を受けておけば、毎年8月の「現況届」で所得判定が行われるため、所得が下がった年度から自動的に(申請なしで)支給が開始されます。 - 「所得」の計算は複雑で、実は対象内かもしれない
自分では「年収が高いから無理」と思っていても、以下の要素で「所得」が圧縮され、一部支給の対象になるケースがあります。
・養育費: 8割しかカウントされない
・控除: 寡婦・ひとり親控除以外の控除(医療費控除、iDeCoなどの小規模企業共済等掛金控除など)は引ける
・社会保険料: 一律8万円引かれる
役所の計算はこれらを厳密に行うため、「ダメ元で出したら一部支給になった」というケースもゼロではありません。 - 公的融資などの「証明」になる場合がある
自治体によっては、手当が全額停止でも「児童扶養手当の受給資格者」である認定通知があれば、母子父子寡婦福祉資金貸付金(無利子の学費貸付など)の審査がスムーズになる場合があります。
支給停止中であっても、毎年8月に現状届(更新手続き)を出さないと資格が消滅するので注意が必要です
実録:児童扶養手当の「申請の壁」
ひとり親支援の中心である「児童扶養手当」。
実は、これが一番申請ハードルが高かった。私の実体験をお話ししよう。
当時、私は役所へ事前に電話し、調停離婚であることも伝えた上で必要書類を完璧に揃え、窓口へ向かった。
しかし、現場で担当者にこう言われた。
「調停離婚が確定していることを証明する『事件終了証明書』が足りません」
調停は相手側(元妻)が申立人だったため、正式な証明書は相手側に送付されており、手元になかったのだ。最終的には役所側の案内不足ということで、役所から相手方に直接書類手配を依頼してもらう形で決着した。
役所の手続き、特に離婚が絡むものは「想定外」が起きる。
「言われた通り持っていけば通る」と思わず、余裕を持って動くことが重要だ。
意外と知らない?民間のひとり親支援
公的支援以外にも、民間企業が提供する「ひとり親・子育て割引」は存在する。
これらを活用して、固定費を圧縮しよう。
| 分野 | 企業・サービス例 | 主な内容 | 備考 |
| 通信 | NTTドコモ等 | 子育てサポート割引 | 通信費は固定費削減の基本 |
| 生活 | Amazonファミリー | 日用品・オムツ等の割引 | 定期便との併用が吉 |
| 学習 | ベネッセ等 | 通信教育の受講費割引 | 教育費対策として有効 |
| 就労 | パソナ、LITALICO等 | 就労支援、発達支援 | 専門的な相談が可能 |
ドコモ「子育てサポート割引」の破壊力
最後に、民間支援の具体的な効果として、我が家の携帯料金(ドコモ)の実例を紹介しよう。
我が家は3回線を契約しており、一般的な「ファミリー割引」に加えて、以下の割引をフル活用している。
- comotto 子育て応援プログラム
これはひとり親に限らず、親子関係があれば対象になるプログラムだ。
特典として、子どもの誕生月にdポイントが1,000ポイント進呈される。地味に嬉しいが、本命は次だ。 - 子育てサポート割引(ひとり親世帯対象)
これが父子家庭なら絶対に使いたい割引だ。
【我が家子育てサポート割引額】
- 基本使用料割引:1,210円割引
- 音声オプション割引(かけ放題):1,980円 → 1,100円(880円割引)
- 合計割引:月額 2,090円
年間削減額:25,080円
なんと、年間約2万5千円が浮く計算になる。
格安SIMへの乗り換えも検討したが、この割引額と通信品質、家族間通話無料などを考慮するとドコモを継続する選択になる。
まだまだある!利用できる減免制度と注意点
今回は「我が家で実際に使っているもの」を中心に紹介したが、ひとり親家庭が利用できる制度は他にも多数存在する。
例えば、水道料金の減免やJR通勤定期の割引などが代表的だが、これらは別の機会に詳しく紹介したい。
一つだけ、よく相談される「国民年金保険料の免除」について触れておこう。
国民年金の免除制度は「将来」への影響を考えて
所得が低い場合、国民年金保険料の全額または一部が免除される制度がある。
目先の支払いがなくなるため、家計にとっては非常に魅力的だ。
しかし、注意点がある。
免除された期間分、将来受け取る「老齢基礎年金」の受給額が減ってしまうのだ(全額免除の場合、国庫負担分の50%しか反映されない)。
- メリット: 今すぐの支出が減り、生活が楽になる。
- デメリット: 老後の受給額が減る。
「今はどうしても苦しいから免除」という選択はありだが、生活が安定したら「追納(後払い)」して満額に戻すことも検討すべきだろう。
給付金制度等の煩わしさとどう向き合うか
給付金や支援制度で一番もどかしいのは、本来受給できる資格があるのに、自分自身で申請しない限り受け取れないという点だ。 税金は自動的に引かれるが、支援は黙って待っていても届かない。
さらに厄介なのが、「自分がいったい何を使えるのか」が非常に分かりにくいことだ。 誰かがメニュー表を持ってきてくれるわけではなく、自分で探しに行かなければならない。 そのうえ、制度は毎年のように変わり、子供の成長によっても条件が変わっていく。
これを働きながら追いかけ、クリアしていくのは本当に骨が折れる作業だ。 けれど、知らないままでいると損をしてしまうのが現実だ。
面倒な書類仕事だが、これも家族の生活を守るための「父の仕事」と割り切って、一つひとつ確実に片付けていこう。






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